脳梗塞の前触れ症状「一過性脳虚血発作」(TIA)
「脳梗塞=前兆も無くある日突然襲われる」というイメージをお持ちの方が多いようですが、実際には脳梗塞を発症した3人に1人が前触れのような症状を経験しています、これを「一過性脳虚血発作(TIA)」といいます。
脳の血管が一時的に詰まって血液の供給が途絶える状態を意味しており、運動障害や感覚障害など脳梗塞で現れる症状が見られます。これらの症状の大半は血栓が溶けて血流が回復する30分以内、短い場合は数分で消えてしまいます。
TIAは症状が現れる時間が短いために、「細菌は残業が多いから疲れているのだろう」、「もう少し様子を見てみよう」などと放置されやすい傾向にありますが、血管が一度でも詰まったということは、症状が消えた後も詰まりやすい状態にあることは変わりありません。
TIAを経験後に、脳梗塞を発症するリスクがどれくらいあるかの判断基準として「ABCD2スコア」があります。これは年齢、血圧、症状、TIAの持続時間、糖尿病の有無の5項目をチェックし、それぞれの項目に振り分けられた点数を合計することで脳梗塞のリスクを計算しようというものです。
TIAを経験した人の3割の方が、その後本格的な脳梗塞の発作に襲われています。多くの場合、TIAが起きるのは一度きりです。脳梗塞の発症を事前に抑える貴重な機会ですので、加齢や年齢のせいにしないで脳神経外科や神経内科を受診して、専門医の診察・検査を受けるようにしましょう。