脳神経外科の受診ガイド

脳梗塞の発症には高血圧、糖尿病、脂質異常症が関係しています

血管は内膜・中膜・外膜の3層から構成されていますが、血管に高い圧力がかかると、バランスを取るために真ん中の層である中膜が厚くなり、血管のしなやかさが損なわれます。これが動脈硬化ですが、細い血管でこの現象が起きると内腔が狭くなり、ラクナ梗塞を発症しやすくなります。

また、常に血管に高い圧力がかかっていると血管壁が傷つき、そこに血液中のコレステロールなどが入り込んでドロドロした塊(アテローム)を作ります。これをアテローム性動脈硬化と言い、太い血管で進行するとアテローム血栓性脳梗塞を起こします。

動脈硬化は全身の血管に起こりえますので、血圧が高いと心臓の血管も動脈硬化を起こしやすくなります。心臓の冠動脈の動脈硬化は、心臓に血栓を作る原因となる心房細動の危険因子であり、心原性脳塞栓の原因ともなるため、血圧の高い方は日常生活における血圧コントロールは欠かせません。

血液中に余分なブドウ糖が残っている状態が続く病気が糖尿病です。健康な人は食事で血糖値が高くなると、膵臓から分泌されるインスリンの働きによって血糖値は下がります。しかし、糖尿病になるとインスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりして血糖値がコントロールできなくなります。

この状態が慢性化すると全身の血管が糖に侵されて脆くなっていき、動脈硬化が進行します。動脈硬化は先ず太い血管で進行するため、アテローム血栓性脳梗塞の発症リスクが高まります。またインスリンの働きが低下すると細い血管の動脈硬化が進行するため、ラクナ梗塞の発症リスクも高くなってしまいます。

血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が多すぎたり、善玉であるHDLコレステロールが少なくなる病気を脂質異常症といいます。この中で脳梗塞と深い関係にあるのはコレステロールです。LDLコレステロールが増えると、血管壁に入り込んでアテロームを作ります。HDLコレステロールは血中の余分なコレステロールを回収する役割を担っているため、HDLコレステロールが減少すると血中のコレステロールが増えてアテロームの原因となります。コレステロールを原因とする動脈硬化は太い血管に起こりやすいため、アテローム血栓性脳梗塞の原因となります。

内臓脂肪型肥満に、脂質異常症、高血圧、高血糖のうち2つ以上が該当する状態をメタボリックシンドロームといいます。内臓脂肪が蓄積されていると、血圧や血糖値の数値が単独では異常値よりは低くても、複数が重なると動脈硬化を進行させてしまいます。


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