脳卒中の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症)を管理して再発を予防
脳卒中の再発を予防するうえで、危険因子の管理は欠かせません。なかでも脳梗塞と脳出血の最大の危険因子となっている、高血圧は十分な血圧コントロール(収縮期血圧140mmHg以下、拡張期血圧90mmHg)が求められます。
血圧コントロールの基本となるのは食塩を減らした食事療法ですが、脳卒中を起こした高血圧の患者さんはこれだけでは十分ではありません。降圧目標を日常的に達成・持続するためには積極的に降圧薬を服用する必要があります。
血圧を測定するのは病院を受診したときだけで、家庭では全く血圧を測らない人も少なくありませんが、「白衣高血圧」といって医師や病院の雰囲気に緊張して、家庭よりも高い数値が出てしまうタイプの人がいますので、家庭血圧を1日2回測定・記録し、本来の自分の血圧がどのくらいなのかを把握した上で薬を処方してもらうことが重要です。
多くの降圧薬に脳卒中の一次予防効果があることが報告されていますが、二次予防(再発予防)に効果があることがわかっているのは、ペリンドプリルというACE阻害薬と、インダパミドという利尿薬の併用だけです。
高血圧に次ぐ危険因子は糖尿病です。血糖コントロールを上手に行うためには食事療法は欠かせず、糖尿病の食事交換表や栄養士の指導の下で食事のカロリーを制限する必要があります。毛等コントロールの指標としては血糖値そのものよりもHbA1cの値のほうが、最近の血糖値の推移を平均して示してくれるので信頼性が高くなっています。
しかし、糖尿病患者では、血糖コントロールのみでは脳梗塞の再発を予防することにはなりません。海外の研究では、糖尿病患者は血糖値だけでなく血圧尾コントロールも非常に重要で、血圧の厳密にコントロールできれば、血糖のコントロールは緩やかでも脳梗塞の再発を減少できることが証明されているのです。
従来、日本では欧米に比べて脳梗塞の危険因子としてコレステロールが軽視されてきましたが、コレステロールの値が高い日本人が増えたことを受け、脳梗塞の危険因子となることがわかってきました。
ご存知のようにコレステロールには善玉と悪玉があり、悪玉のLDLコレステロールが多いほど脳梗塞のリスクは高まり、逆に善玉のHDLコレステロールは少ないほどリスクは高くなります。ハンバーガーをはじめとするファストフードには死亡が多く含まれているので要注意です。
喫煙も脳梗塞の危険因子となることがわかっています。喫煙本数に比例して脳梗塞のリスクも高まり、禁煙によりリスクは低下させることができます。喫煙はくも膜下出血の危険因子でもあるため禁煙すべきです。近年は日本でも禁煙を補助するにニコチンパッチが保険適用となりましたので、どうしても禁煙できない方は医療機関の禁煙外来を受診すると良いでしょう。